|
おじいさんの古時計
いつも素敵な音楽がかかっている、お気に入りの喫茶店で休憩していた。
（ちなみに、ここの珈琲はどこにもない日本一の美味しさであると思っている。）
ある時はジャズであったり、クラシックであったり毎日違う。今日は沢田知可子のボーカルだ。
「おじいさんの古時計」をやわらかな声で歌っている。
 この歌を聴くと娘がまだ幼稚園児だった頃、二人で京阪電車の窓を開けて風に声を散らしながら、大声で歌った日のことを思い出す。 今や電車も空調が行き届いて、窓が開いているのを見ることはない。けれどスピードに合った風の流れを、顔いっぱいに受けながら二人で歌った幸せの時を忘れることはない。
娘は３年前、結婚して九州に行った。 以来滅多に電話もかけて来ない。
それでも父がいる頃はたびたび帰って来たが、父がいない今は旅費が大変と言って帰っても来ない。
（旅費は父の年金から出ていたようだ・・・）
私も店のことで頭がいっぱいで、嫁に行った娘のことまで気がまわらない。
便りのないのが元気な証拠なのである。 お互いに。 と思っていたら、メールが入った。
三万円でロッテ・ホテルのエグゼクティブ・ルーム泊、釜山格安一泊ツアーに行きませんか？
とある。海を渡るのは２３年ぶりである。ひとつ行って見るか！ やっぱり親子、どこか繋がっているのである。 長い間、仕事ばかりして来た。 好きだから苦ではないが、丁度煮詰まっている自分を感じていたところだった。 渡りに船？でリフレッシュして来ま〜す。
麗子
|
